やはり、新卒抑制の大きな理由と考えられるのは、前述した初任給引き上げ競争による初任給の異常な高騰だろう。「初任給インフレ」と呼ばれるほど引き上げが相次ぎ、すでに有名企業の多くが軒並み30万円を超えている。
ユニクロを展開するファーストリテイリングの37万円をはじめ、就職人気企業の伊藤忠商事は36万円、三菱商事は35万円、損害保険ジャパンは34万6610円。
理系ではNTTデータグループが31万2000円、ソニーグループが36万3000円、トヨタ自動車も30万円と、30万円超が普通になりつつある。
コンサルのシンプレクス・ホールディングス(42万5000円)、M&A仲介の日本M&Aセンターホールディングス(40万2750円)をはじめ、40万円台に引き上げた企業もある。
21万~22万円だった初任給が23年から上昇
初任給引き上げ競争が本格的に始まったのは23年からだ。それまでは大企業・中小企業に関係なくほぼ業界一律の21万~22万円程度だったが、23年から上昇する。
その背景にあるのは人手不足と優秀人材の獲得への危機感だ。
引き金を引いたのはNTTグループ。23年の4月から主要会社の大卒初任給を21万9000円から25万円に引き上げたことが大きな話題になった。
NTTの当時の島田明社長は記者会見で「ICT(情報通信技術)の分野は非常に競争が厳しい。デジタル人材をしっかり確保しなければビジネスにならず、(求職者にとって)魅力ある会社にする」と発言。
優秀な人材の確保に向けて初任給引き上げがほかの日本企業にも一気に広がった。
『労働新聞』の2027年3月卒の大卒初任給調査(248社)によると、事務・企画系総合職の平均は27万9949円、技術系27万9078円となり、約28万円にまで上昇している。


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