産労総合研究所の「2026年度決定初任給調査」によると、初任給引き上げによる在籍者との賃金バランスに「問題が起きている」企業は23.5%もあった。そのうち「逆転が生じた」と回答した企業が半数近くの43.5%もあった。
当然、早期に解消しなければ先輩社員の不満が爆発することになりかねない。
さらに、「逆転は生じないが差がわずかになった」が44.9%もあった。実はこれが前述したように中堅社員の不満の火種となっている。
自由回答では「新卒採用市場において初任給額がより重視されていると感じているが、会社全体の人件費コストを見直すことによって、既存従業員のモチベーション低下につながらないか慎重に検討している」(300~999人、運輸・倉庫)という声もある。
初任給引き上げ競争が、先輩社員や中堅社員の不満を招くという歪みをもたらしている。
恩恵を受ける若手と、しわ寄せを受ける中堅社員や管理職
初任給高騰の弊害はそれだけではない。
帝国データバンクの「上場企業の『平均年間給与』動向調査(2025年度決算)」(2026年7月9日)のレポートでは「若手の初任給や破格のベースアップで引き上げられる一方、2024年度以降に本格的に目立つようになった40~50代以上を対象とする『黒字リストラ』など、上場企業でもシニア・ミドル世代が総人件費の調整対象となるケースが頻発し、恩恵を受ける若手と、しわ寄せを受ける中堅社員や管理職といった構図も生まれている」と指摘している。
初任給高騰のしわ寄せは、中高年社員も含めて、企業の賃金・人材管理にまで悪影響を及ぼしうる。このまま推移すれば、初任給引き上げ競争から脱落し、新卒採用の抑制へと進む可能性もある。


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