実際、初期に開設した施設もすべてが成功したわけではない。宮原社長によれば、15棟のうち感覚的には「10勝5敗」だったという。しかし宮原社長は、その5敗を問題視しなかった。
「赤字でしたが、授業料だと思っていました」
むしろ重要なのは、なぜ10勝できたのかを分析することだった。
実際に運営して初めて、何室規模が最適なのか、どのくらいの期間で満室になるのかというリアルなデータが蓄積されていったのである。この1年目の「授業料」こそが、学研にとって大きな財産となった。
「10勝」を支えたのは教育事業
ではなぜ、手探りのなかでも「10勝」できたのか。背景には教育事業で長年培ってきた学研ならではの強みがあった。
当時、多くの介護事業者は施設を建設しても入居者募集に苦戦していた。一方で、学研は全国の家庭を回り続けてきた営業ネットワークを発揮した。
「入居募集は『学習』『科学』の若手営業チームが担当しました」
教材販売で培った地域とのつながりや顧客接点は、高齢者住宅の入居者募集でも大きな力を発揮した。さらに施設運営の現場では、保育事業で蓄積した人材育成や生活支援のノウハウを活用できる。
つまりココファンは、ゼロから始めたわけではなく、教育事業で磨き上げてきた組織能力を介護市場へ応用した事業だったのである。


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