学研が長年、教育の現場で培ってきた「顧客の声に耳を傾ける現場力」は、新会社にも確実に受け継がれていた。
とはいえ、最初から教育の強みを介護へスムーズに横展開できたかといえば決してそうではない。初期の体制を整えたからといって、事業がすぐ軌道に乗るほど甘くはなかった。
現在のような「サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」と表記)」を全国展開する姿からは程遠く、当初はデイサービスや高齢者向け商品の販売など、さまざまな事業を試していた。しかし、思うような成果は出なかったという。
「最初から住宅事業をやろうと思っていたわけではありません」(以下、宮原社長)
試行錯誤を続けるなかで着目したのが、高齢者向け住宅だった。
誰でも乗れる“大衆車”のような、利用しやすい高齢者住宅を
当時、介護施設への入居を希望しても特別養護老人ホームや介護老人保健施設は待機者が多く、なかなか入れない。一方で民間の有料老人ホームは高額で、多くの高齢者にとって現実的な選択肢とは言い難かった。
「年金で入れる住宅が見つからない――」
これが、かつての営業現場で繰り返し聞いてきた生活者のリアルな声。だからこそ、一部の富裕層向けではない高齢者住宅をココファンが目指すことにした。
「学研の知見やノウハウを生かした住宅とは?」
「高級車でもなく、電車やバスでもない、誰でも乗れる“大衆車”のような、利用しやすい高齢者住宅ってどんなもの?」
議論を重ねるなかで、高齢者が住み続けながら必要な生活支援サービスを受けられる住宅に可能性を見出した。


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