繁盛店が2軒目を出すとたいていうまくいかないのは、チェーン店のやり方を知らないからです。特定の職人がやっていたことを、違う職人がまねようとして、調理がブレていくんですね。お客様は本店との違いにすぐに気がつき、これは違うものだと感じるはずです。
個人店とチェーン店の違いはそこにあります。マニュアル、レシピ、教育システムがしっかりできていて、全国どこで食べても同じクオリティの味が楽しめる。それがチェーンビジネスの最低条件です。
私たちは職人を否定しているのではありません。職人技術を分解し、再現可能にしているのです。
技術を分解する。育成速度を上げる。そして職人に頼らなくても、職人の仕事ができる専門家を育てる。その仕組みこそが、ゆで太郎200店舗を支えているのです。
小さな改善が満足度を上げる
皆さんは、そば1本の長さを考えたことがありますか?
ゆで太郎のそばは37センチです。そう言われても、おそらくピンと来ないでしょう。そばの長さを意識して食べている人は、ほとんどいないからです。
実は、そば屋の世界でも麺の長さが話題になることはほとんどありません。手打ちそばが趣味の方に聞いても、「考えたことがない」と言われます。麺を畳んで揃える工程の結果、自然とその長さになっているだけで、「この長さでなければならない」という理由はないのです。立ち食いそば店の多くも製麺所から麺を仕入れていますから、その長さが業界の標準になっていました。
私はそこに疑問を持ちました。
本当に、この長さが一番食べやすいのだろうか。食べる人の立場で考え直してみたのです。
すると、箸で持ったときに3分の1と3分の2くらいの位置で自然につまめる長さが、一番食べやすいことがわかりました。試作と検証を重ねてたどり着いたのが、現在の37センチです。町そばより少し長く、立ち食いそばより少し短い。その絶妙な長さが、一番食べやすかったのです。

