「オフィスカジュアルって、結局何を着ればいいんですか?」
企業研修やセミナーで、最近よくいただく質問です。コロナ禍を経て、多くの企業で服装の自由化が進み、オフィスカジュアルが定着しました。スーツ一辺倒だった頃に比べると、働きやすくなったと感じる人も多いでしょう。
その一方で、「何を着れば正解なのか分からない」という声も増えています。「襟付きはは必須?」「スニーカーはどこまでOK?」「ジーンズでもいい?」など。以前はスーツという“制服”があったため、服装で迷う機会はそれほど多くありませんでした。しかし、自由になったからこそ、自分で判断しなければならない場面が増えたのです。
ですが、私はこの質問に対して、少し違う角度からお答えしています。本当に考えるべきなのは、”何を着るか”ではなく、”どんな印象を相手に伝えたいか”です。服はゴールではなく、相手にメッセージを届けるための手段だからです。営業職であれば「信頼感」、人事担当者なら「安心感」、管理職であれば「リーダーシップ」。それぞれの職種や立場によって、相手に伝えるべき印象は変わります。その目的が決まれば、服装の選び方も自然と決まってくるのです。
(注:オフィスカジュアルとビジネスカジュアルの違いについて。オフィスカジュアルとは、社内勤務を前提とした、より自由度の高い服装のことで、今回テーマにしているのはこちら。対してビジネスカジュアルとは、取引先や外部の人と会っても失礼のない服装のこと)
何を着るかより、「何を伝えたいか」
私は長年、印象設計を研究しています。印象設計とは、感覚やセンスに頼るのではなく、”相手にどう見られたいか”から逆算し、それを外見で表現する考え方です。
「おしゃれに見せたい」のではなく、「信頼されたい」「相談しやすそうと思われたい」「説得力のある人に見られたい」。その目的から逆算して、服装や姿勢、表情、眉毛などを整えていきます。
人は会って間もない相手に対して、驚くほど短時間(最新の研究では0.1秒)で視覚情報を基に印象を形成するといわれています。そのため、どんなに優れた知識や経験を持っていても、第一印象で「頼りなさそう」「話しかけづらそう」と受け取られてしまうと、本来の実力を発揮する前に損をしてしまうことがあります。だからこそ、服装は「好きだから選ぶ」だけではなく、「どう伝わるか」という視点を持つことが大切なのです。

