近年は、発達障害のある学生数の増加を受け、支援を強化する大学が増えてきた。甲南大学も24年の法改正に合わせ改組し、発達障害を含む学生の支援部門として、学生相談センターに「学生相談室」と「YOUステーション」を設置している。
高石氏がカウンセラーを務める学生相談室は、学生生活での悩みをカウンセラーに相談できる場所だ。YOUステーションは、心理や福祉の資格を有する修学支援コーディネーターが常駐し、病気や障害で授業や試験に困り事が生じている学生の修学支援を行っている。
YOUステーションでは、例えば前述の聴覚過敏で授業がつらい学生には、ノイズキャンセリング機能を備えたヘッドフォンを授業中に使用できるようにするなどの合理的配慮を提供する。そうした環境調整さえしてもらえれば「大丈夫です」という学生もいるが、「周囲の理解が十分でなく、生きづらさを抱えていたり、メンタルヘルスの問題が2次的に生じたりする学生も少なくない」(高石氏)といい、そうしたケースを学生相談室が支えている。
また、とくにメンタルヘルスの問題がなくても、自己理解を深めるために学生相談室に通う学生も一定数いるという。
「高校までは親御さんや先生が熱心にフォローしてくれる場合も多いですが、社会に出るとそういうわけにはいきません。発達障害の人を支える制度も整ってきてはいますが、自分に必要な助けを選べるようにならないといけません。発達特性があると、無理を重ねてキャパシティーを越えていても自覚しづらいことも多いですから、社会に出る前に自己理解のお手伝いするのが、高等教育機関の大きなテーマだと思っています」
入学後に「不適応が顕在化」するケースも
近年は通信制高校から大学に進学する学生も増えている。入学前に高校の先生から特性に関して申し送りがあるケースもあれば、人が大勢いる大教室での授業に難しさを感じたことを機に学生相談室へ駆け込んでくる学生もいるという。
「いずれも大学の授業について丁寧に説明し、何が困難かをヒアリングしたうえで、相談しながら合理的配慮を提供していきます」

