多くの人が、学生時代に食堂や購買部などでお世話になった「大学生協」。約20年前、東京農工大学の大学生協職員が学生からの投書にユーモラスに答える「生協の白石さん」も話題となった。だが、その実態はあまり知られていない。「大学生協」とはいったい何なのだろうか。
正式には「大学生活協同組合」といい、農業協同組合(JA)や地域の生協と同じ「協同組合」の1つである。学生・教員・職員自身が組合員となって出資金を出し合い、購買部や食堂、共済、住居紹介といった事業を協同で運営・利用する。安価で食事ができる、書籍が割引で買えるといった学生ならではの恩恵は、この協同組合という非営利組織だからこそ実現できているのだ。組合員同士が支え合う「たすけあい」の精神が、その根底にある。
最初の大学生協は1898年に現在の同志社大学で生まれ、戦後になって東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学などで相次いで設立された。現在は全国213会員(大学など)、150万人以上の組合員を擁する。全国の大学生協の総事業規模は約1480億円(2026年2月)で、大手飲食チェーンの売上高に匹敵する。
出資額にかかわらず「1人1票」で意思決定する民主的な運営も、株式会社にはない特徴だ。全国約1万人の学生委員たちは食堂・購買部の運営状況を自ら調べ、理事会では営業時間まで議論して決めるなど“経営者”として商品企画や店づくりに参画。「大学の中で学生・教員・職員が対等な立場で議論する場は、ほかにはないのではないか」と全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)の武川正吾代表理事・会長理事は語る。
不測の事態に幅広い支援
この記事は有料会員限定です
残り 1658文字


