前年の2025年卒調査でも、就職活動で生成AIを使う理由として「自身のアウトプットの改善・改良」が57.3%、「作業時間の短縮」が53.9%で上位に並んでおり、学生は生成AIを"楽をするため"だけでなく、"よりよく見せるため"の補助線として使っていることがわかります。
ここで重要なのは、学生がAIでしていることが、必ずしもゼロから虚偽を生み出すことではない点です。多くの場合は、もともとの経験を、より論理的に、より簡潔に、より印象的に、より「通りやすい型」に整えています。
つまり、採用現場で起きているのは、一部の学生による悪質な虚偽というよりも、評価される形式に合わせて自己表現を最適化する圧力が、就活全体に広がっているという現象です。
企業側に起きる「疑心暗鬼」と「業務負荷の増大」
しかし、その現象が広まると、企業側から見える景色は大きく変わります。
AIが手助けした文章は整っています。構成も論理も破綻がほとんどありません。志望動機もそれらしいものです。しかし、整いすぎているがゆえに、どこまでが本人の思考で、どこからがAIによる補助なのかが見えにくくなります。
採用担当者は、以前であれば「文章が下手でも、本人らしさがある」という手がかりを持てましたが、いまはその鍵となる「粗さ」が消されてしまいます。結果として、文章の完成度が上がるほど、人物理解の難易度も上がるという逆説が起きているのです。
もちろん、企業側もこの変化を認識しています。
マイナビの2026年卒企業調査では、学生が就職活動にAIを利用している実感がある企業は30.6%に達し、前年から18.3ポイント増えました。まだ「全企業が明確に実感している」段階ではありませんが、少なくとも3社に1社は、学生のAI利用を肌感覚として捉え始めているということです。
しかも、学生側の実利用率が66.6%であることを踏まえると、企業が気づいている範囲よりも、実際の利用のほうが先行している可能性が高いのです。採用現場は、すでにかなりの確率でAI補助を受けた応募書類を読んでいるにもかかわらず、それを十分に見分けられない状態にあるとも言えます。


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