まずは映画業界の各社から若手社員が50人ほど集められて、ランダムにAからHまでのチームが組まれた。そこで「1億円の予算で映画館に観客を呼ぶ企画を考える」という大枠のお題を与えられ、各チームでコンペを行うことになった。
「シークレットシネマ」を提案したのは、その中のCチーム。メンバーの所属は、配給会社(アスミック・エース、ギャガ、東京テアトル)、興行会社(TOHOシネマズ、ヒューマックスエンタテインメント)、そしてエンタメマーケティングを担う代理店(フラッグ)など多岐にわたるが、普段の業務ではなかなか交わることの少ない、業界の垣根を越えた若手たちが「映画業界全体を盛り上げる」という一点で結集した。
計4〜5回のミーティングを経て練り上げられた企画は、全チーム参加の1次審査(参加者間の投票)、そして「映画館に行こう!」実行委員会会長の松岡宏泰氏、佐々木伸一氏ら業界トップが審査する最終プレゼンへと進み、見事Cチームの「シークレットシネマ」が選出されるに至った。
「推し活」を入り口に、改めて映画館の良さを感じてもらいたい
Cチームが企画立案をする際に、第一歩として行ったのは、映画業界全体が抱える「課題の洗い出し」。メンバーたちで、さまざまな業界の問題点を話し合った結果、浮き彫りになったのが、ライト層の映画館離れだった。
特に昨今は、年間で1200本近い映画が公開されているにもかかわらず、話題を集める作品はほんのひと握り。近年、日本人が映画館に行く本数は年に平均1.2本から1.3本程度と言われている。となると「とりあえず世間で話題になってる作品を押さえておこう」となってしまうのはやむを得ない話ではあるが、ほとんどの作品は人知れず公開を終えてしまう。
その背景には、昔に比べて「失敗したくない」という消費者マインドがあるのは間違いない。特にミニシアター系で公開される作品などは、小さなコミュニティの中で熱狂を生むことはあるものの、なかなかその良さが大衆レベルにまでは広がらない。映画に思い入れがあればあるほど、爆発的に当たるヒット作の陰で、静かに公開を終えていく名作があることへの悔しさもあるだろう。
「映画って、面白いものも、自分に合わなかったものも含めて『映画館での体験』として楽しめると思っています。確かに失敗したくないという気持ちも分かります。しかしわれわれとしては、あえて『知らないものと出会ってほしい』という思いもあり、その気持ちを実現できる企画としてまとまったのが、シークレットシネマでした」(ギャガ・K氏)

