少し話が逸れますが、これが全世界で食人が禁止されている科学的理由の1つです。人を食べるとその人の体内保有のウイルスを無防備にすべて吸収することになり、いつか必ず伝染病が蔓延します。
たとえば狂犬病は犬、MERSはラクダ、ペストはネズミなどの齧歯類、というように多くの人獣共通感染症は哺乳類由来です。これは当然人が哺乳類だからです。逆に魚のウイルスがヒトに感染するには、かなり大きな突然変異が必要になります。
とはいえ、魚をあまりに食べ過ぎれば問題があります。たとえば、マグロはエサとなる小さな魚が持っていた水銀を食べるので体内に水銀がどんどん溜まっていきます。なので、マグロを食べ過ぎると人間には水銀が蓄積されると言われています。実際、毛髪の分析検査を行うと、マグロをよく食べる日本人は諸外国人と比較して水銀含有量が多いと言われています。
ローマ軍を襲った「ウサギ餓死」の悲劇
肉食動物の肉を食べない理由の2つ目は「味」です。一般に、「肉が食べたくてたまらない」という時に、本当に求めているものは「脂質」だと言われています。むしろ、肉を欲した時、脂身が切り取られた赤身を食べても飢えは満たされません。むしろ脂肪たっぷりのアイスクリームを食べる方が欲求は満たされるのです。しかし、肉食動物は狩りをするため、痩せている場合が多く、脂肪が少ないのです。
また、動物の筋肉は筋繊維をバネのように収縮することで運動を生み出します。運動をする動物はこの筋肉が収縮・弛緩を繰り返すうちに太く強靭になります。逆に、運動しない筋繊維は細いです。細い筋繊維の肉はいわゆる「きめが細かい」と言われます。野生の肉食動物のような運動の激しい動物は、筋繊維が太くきめが粗いため、肉質が硬くなるのでまずいとされています。つまりは、マッチョはまずいのです。
鍛え上げた筋肉はカチカチですから、そりゃあ肉は硬いでしょう。実際、自然写真家の山形豪さんは、ボツワナでライオンの肉を食べたことがあるらしく、「ライオンは今まで食べた肉の中で一番まずかった。味はとにかく生臭くて、筋っぽかった」と語っています。
現代人が脂質を好むのは、脂質が生存に必須過ぎて脂質を好むように進化した人類しか生き残らなかったことに起因しています。逆に言えば、進化の過程で脂質を好き嫌いしていた人間は死滅しました。それぐらい、脂質は圧倒的に高カロリーで「燃費が良い」のです。

