そんな中、ある店が私の目に留まりました。
店で販売する民族衣装には値札がついており、価格が変動することはありません。ケニアでは珍しい明朗会計です。
また、村では一般的に皆が赤い民族衣装を着ることが多い中で、おしゃれな青い民族衣装を着た女性店主が笑顔で挨拶をしていました。その店の店主であった女性は、押し売りをするでもなく、私に穏やかに話しかけました。
「こんにちは。あなたはどこから来たの?」
私が日本から調査のために来ていることを伝えると、その店主は頷きながらさらに質問をしました。
「なにかお役に立てることはあるかしら?」
青い民族衣装をまとった「上品な」店主
その洗練された身なりや、流暢な英語での問いかけ、日本人の私に押し売りをしてこない態度——。こうしたマサイの村ではなかなかお目にかからない、彼女の上品な装いや対応から底知れない深みを感じた私は、彼女の横の木陰に座りながら話をしていました。

