レモンイエローの球体は湘南ゴールドに見立てたホワイトチョコレートだ。湘南ゴールドのパルフェ(アイスクリーム状のスイーツ)に刷り込んで固めている。内側には果皮のコンフィチュールと蜂蜜と和えた果肉、ヨーグルトのエスプーマ(ふわっとしたムース)、落花生のサブレが層をなす。
ゲストと接するソムリエの真名子さんは、こう話す。
「果物の形を再現することで、お客さまもイメージしやすいですよね。湘南ゴールドは普段あまり見ない果物だと思うので。写真映えもよく、とても喜ばれました」
湘南ゴールドは、2003年に品種登録された柑橘だ。レモンのような黄色い果実に、爽やかな甘みが特徴で、神奈川県以外ではほとんど流通していない。多くのゲストにとって目にする機会の少ない、特別な果物だった。
さらにこの夏からひらまつ仙石原では、八木下農園のブルーベリーも使っている。
「輸入品とは全然違います。皮がしっかりしていて、果肉をすごく感じられます」と落合シェフ。
耕作放棄地をブルーベリー畑に
八木下農園のブルーベリー畑は、もとは耕作放棄地だったという。荒れた土地を借り受け、耕した。当初は、ジャムに加工することを考えていた。しかし、レストランやパティスリーで需要があることを知ると、これまで培ってきた味へのこだわりをブルーベリーにも注いだ。
ブルーベリーはふかふかした土を好むため、知り合いの米農家から籾殻(もみがら)をもらって畑に混ぜている。その米農家は、つい先日、地元の素材を探している落合シェフにも紹介したばかりだという。
「生産者同士でつながりながら、いい食材を多くの人に知ってもらいたい」と敏雄さんは語る。
ブルーベリー畑には、収穫の時期をずらした3つの品種が植えられている。今年は雪の影響で柑橘の花が少なく、実りが回復するまでには時間がかかりそうだ。不安が募る中、ブルーベリーの存在は心強い。

