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大雪で柑橘が全滅…それでも「規格外品50キロ買います」一流ホテルが支え続ける、小田原・家族経営みかん農家の「本物の味」

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2026年2月の記録的な大雪で、みかんの木は雪に埋もれた(写真:八木下農園提供)
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「忘れないですよ、あの衆議院選挙。忘れられない」

すべての畑を確かめに行くことはできなかった。それでも、何が起きているか、想像はついた。

「なるようにしかならない、と思いました」と敏雄さん。

雪がやんだ後、畑に出ると、実をつけた木が雪に覆われていた。収穫できた実もあるが、雪に当たった部分は水分が抜け、ほとんどがB級品(規格外品)になってしまった。まさかの事態だった。

雪に当たり水分が抜けた実(写真:八木下農園提供)

納品を予定していた取引先には状況を説明した。SNSには厳しい現状を投稿し、協力を仰いだ。

規格外品を50キロ、何度も…一流ホテルの決断

すると、規格外品を50キロ単位で何度も購入してくれる取引先が現れた。箱根の「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」だ(以下、ひらまつ仙石原)。

2016年に開業したひらまつ仙石原は、「滞在するレストラン」をコンセプトに掲げるスモールラグジュアリーホテルだ。2024年、2025年と2年連続で、卓越した宿泊施設に贈られる「ミシュランキー」に選出されている。その一流ホテルが、なぜ規格外の果実を大量に購入したのか。シェフパティシエの落合健太さんに話を聞いた。

「自然のことなので、雪はしょうがないですよね。ただ、思いを込めて作った人がいるから、そこで終わりにするんじゃなくて、何か形にしたいと思いました」

ひらまつ仙石原シェフパティシエ 落合健太さん(写真:筆者撮影)

落合シェフと敏雄さんの出会いは1年前、2025年の夏。食材を探しているときに、たまたまネットで八木下農園が目に留まったという。「お客さまがここ(箱根)に来る価値を追求したい」と考える落合シェフにとって、箱根や小田原周辺で食材を探すことは、自然な流れだった。

さっそく八木下農園に地元の食材を探していることを伝え、畑を見学させてもらえないかと聞いてみた。「いいですよ」と二つ返事で了承を得て、パティシエ仲間とともに畑を訪ねたそうだ。

ひらまつ仙石原のパティシエのみなさん。今年(2026年)の夏も八木下農園を訪れた(写真:落合健太シェフ提供)

夏だったため、柑橘の実はまだ青かったが、ちぎった葉からは良い香りが漂っていた。斜面に広がる畑には、ブラッドオレンジやベルガモットなど、日本ではあまり栽培されていない品種の木もあった。「ここをシチリアみたいにしたい」と熱く語る敏雄さん。落合シェフは、甘さだけでなく、香りや旨味のバランスまで突き詰める姿勢に感銘を受けたという。

良い香りがするレモンの葉(写真:筆者撮影)
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