トヨタ自動車(以下、トヨタ)には、末っ子と長男という表現がしっくりくる2台の対照的なモデルが存在する。1台は同社のエントリーモデルである「ヤリス」、もう1台は国産セダンの象徴として君臨してきた「クラウン」である。一見すると両者に共通項を見出すのは難しく思えるが、実際に試乗してみると、その根底に流れる思想には驚くほど共通するものがあった。
試乗したのは「クラウン スポーツRS」と「ヤリスZ」のハイブリッドモデルである。価格だけを見れば266万円台のヤリスと、765万円のクラウン スポーツとでは、じつに3倍近い開きがあり、車重もヤリスの1090kgに対してクラウン スポーツは2040kgと、ほぼ倍の差がある。
試乗したクラウンとヤリスのキャラクター
まず両車の性格の違いを整理しておきたい。ヤリスは3気筒1.5リッターエンジンにモーターを組み合わせたシンプルなハイブリッドシステムを採用し、車両重量はわずか1090kg(参考までに現行カローラセダンG/2WDの4気筒1.8リッターハイブリッドモデルの車重は1350kg)。この軽さこそがヤリスというクルマの走りの個性を決定づけている。
一方のクラウン スポーツは、2.5リッターエンジンにフロント・リア2基のモーターを組み合わせたプラグイン・ハイブリッドで、システム最高出力は306psに達する。EV走行だけで90kmもの距離をこなせるバッテリーを搭載し、平日は電気だけで静かに移動し、休日の遠出ではハイブリッドとして頼れるという、2つの顔を併せ持つ。パワートレインの構成からして、両者の目指す方向もまったく異なるように見える。

