しかし、実際にステアリングを握ったときの印象には、興味深い共通点がある。
ヤリスに試乗した際、直前に乗ったクラウン スポーツとの走りの方向性が同じだと感じた。もちろん静粛性や振動、段差や横風など外乱のいなし方などはまったく異なるレベルにあるのは当然としても、それぞれのクラスなりに目指している安心感、安定感は明確に同一の延長線上にある。
近年高価になった軽自動車+α程度の価格帯から、800万円近い価格帯まで、トヨタは一貫して「安心して運転できること」を最優先に据えているのである。
クラスを問わず、共通する走りの楽しさ
もう1つの共通点は、走りの楽しさを疎かにしていない点だ。
ヤリスは、軽量なボディを活かした身のこなしの軽さ、コーナーでの安定感、そしてクルマを積極的に振りまわして楽しめる懐の深さを持つ。これはGRヤリスの開発で培われたノウハウが、通常モデルにもしっかりとフィードバックされている証だろう。
一方のクラウン スポーツも、車重をまったく感じさせない身のこなしの軽さを持ち、モーターならではの力強く滑らかな加速でコーナーをしっかりと掴んで曲がっていく。これまでトヨタ車に共通していた、よくも悪くも感じられた「運転の味のなさ」のような感覚が、ここへ来て極められ、安心感と楽しさがうまくバランスするようになったという印象を得た。
価格やセグメントを問わず、トヨタは「移動の手段」としてだけでなく安心・安全を極めた次の一手として「運転する喜び」を各モデルに宿らせようとしているのだ。

