さらに、同コントロールを深く理解するために、左右のタイヤそれぞれが路面の大きなコブを乗り越えていくモーグル走行を体験。ここでもクルマの動きは比較的にゆったりしており、スタック状態からの脱出も“滑らか”な印象だ。
オフロード走行直後に開発担当者に話を聞くと、リアのショックアブソーバーの減衰力を調整して、ジムニー シエラやジムニーと比べて路面からの外力に対してマイルドな動きに仕立てたという。
また、ブレーキLSDトラクションコントロールの利き方については、何度もセットアップを繰り返して、ジワジワっと利くようなフィーリングを目指したと説明してくれた。
クルマの出来は悪くなくとも
次いで、山梨と静岡の県境付近の公道を今度はMT車で走った。
オフロードで感じたように、全体の乗り味としてはマイルドだ。とはいっても、本格派オフローダーとしての資質があることで、路面からの突き上げに角(かど)はないにしろ、それなりにガッシリしたジムニーらしい乗り味であることに変わりはない。
ハンドリングも、あくまでもジムニーファミリーの一員という、ハンドルの切り出しに程よい緩さがある。最新コンパクトSUVに乗っている人は、こうしたハンドリングに少し慣れる必要があるかもしれない。
エンジン(K15B)については、ジムニー シエラからの重量増に対する物足りなさはまったくなかった。
このようにジムニー シエラの特徴である、悪路走破性の高さ、頑丈なフレーム付き車体、見切りのよりボティーデザイン、そして無駄のない機能美に加えて、高い乗降性、乗り心地、室内と荷室を拡大したことによる高い居住性をあわせ持つジムニー ノマドの総合力はとても高い。
商品コンセプトである「本格的な悪路走破性を持つ5ドア コンパクトクロカン4x4」が見事に具現化されている。
そのうえで、スズキが設定した開発ターゲットと市場の実態には、“ズレ”があるように感じるのだ。
開発ターゲットの全体像は、“ジムニーの性能へ憧れを持つユーザー”がベースにあり、プロユースに絞り込んでいるジムニー シエラに対して、ジムニー ノマドではジムニー性能を日常生活でも必要とするユーザーを取り込むとしている。

