この解釈ならば、ジムニーやジムニーシエラの納車待ちの人の中でも、ジムニー ノマドに受注変えする人が出てきて、ジムニーファミリー全体としての納期が安定することになったのかもしれない。
ところが実際には、ジムニー ノマドはスズキの想定を遥かに超える受注を受け、またジムニーとジムニー シエラについてもバックオーダーが続いている状況だ。日本のみならずグローバルでジムニーファミリーに対する高い支持を得ているのだ。
その理由は何か。これは、デザイン(見た目)ではないだろうか。
実務上の性能を要求するユーザーもデザインの良さを気に入っているはずだが、それ以上にジムニーに“ひとめぼれ”するユーザーが多い。
自動車業界関係者の多くが、「クルマは見た目が100%」と言う。クルマを見て、カッコいい、素敵だ、高そうだ、可愛いといった感情が、人がクルマを買う時の導入である。至極当然のことだと思う人が多いだろうが、それがユーザーの本音だ。
また「ウチのクルマは乗ってもらえばわかる」というフレーズもよく聞くが、乗ってもらうためには、気を引く見た目が必要なのだ。
そんな見た目重視のジムニー ノマドの購入者、また納車を待ち望んでいる多くの人は、実際に本格的なオフロード走行はしないだろう。メルセデス・ベンツ「Gクラス」、トヨタ「ランドクルーザー300/250/70」など本格4駆のユーザーの多くがそうしないように。
独り歩きするノマドのこれから
ユーザーの多くがジムニー ノマドに抱いているのは、高い機能に裏打ちされた機能美であり、ジムニーの世界観の中で日常生活をワクワクさせたいという思いだ。
そこに、およそ300万円という新車価格と、ジムニーとジムニー シエラで実証されている高いリセールバリューを踏まえたコスパの良さが重なり、実売につながるユーザー層が大きく広がっているのが実情だ。
こうした中、ジムニー ノマドはスズキの手を離れて独り歩きし始めているように感じる。
ジムニー ノマドの販売台数が増えることは、スズキの事業としては当然プラス要因だ。しかし、今後のスズキ事業全体を考えると、スズキはジムニー ノマドを市場で野放しにすることなく、多様な視点からその動向を検証し続ける必要があるだろう。

