申し立てをした3人およびその家族は、バブル経済の崩壊が始まった1990年に、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)や生命保険会社などの勧めにより、相続税対策として"融資一体型変額保険"に加入した。
融資一体型変額保険は、銀行から借り入れた資金で変額保険の保険料を一括で支払う仕組みで、主に地価が高騰したバブル期に販売された。契約者は借り入れによって自宅の土地建物など相続財産の評価額を引き下げられるため、相続税対策になるとされた。
当時、融資一体型変額保険のセールスでは、「自己資金はいっさい必要ない」「1円もかからない相続税対策」などが売り文句だった。実際、申し立てをした3人も、変額保険の運用益を上乗せして支払われる死亡時の保険金で債務を完済できるのでリスクはない、などと銀行や生保から説明を受けたという。
しかし、相続税対策になるどころか、融資一体型変額保険は債務者とその家族の運命を大きく狂わすことになる。株価が下落して変額保険の運用が不振に陥る一方、借入金の高金利がもたらす多額の利息によって債務が雪だるま式に増大。返済が困難になると、銀行は自宅の競売や年金受取口座の差し押さえといった強硬手段に打って出た。
住み慣れた我が家が競売に
今回、国連作業部会に申し立てたA子さん(69歳)は、「住み慣れた自宅を競売によって手放さざるをえなくなった」と、記者会見で窮状を打ち明けた。
この記事は有料会員限定です
残り 2512文字

