さらに、地方には地元企業の役員や総合病院の医師など、高級賃貸を求める層が一定数存在する一方、物件は慢性的に不足している。法人契約などをターゲットにすれば、高い利回りを維持したまま賃貸経営に回すことが十分可能だ。人に貸し出せば「貸付事業用宅地等」として評価減(200平方メートルまで50%減額)の対象にもなる。
また、複数の相続人に対応するため、1戸ではなく複数の戸数を購入する手段も有効だ。土地を分割されて渡されるより、売ってよし貸してよしのマンション資産は、受け取る側にとってもうれしいものだ。
地元富裕層のしたたかで合理的な「資産防衛策」
地方都市で起きている「1億円超え物件の即完売」という現象。安全で快適な終の住処という紛れもない実需を満たしながら、新ルール下でも機能する強力な相続税の評価圧縮を実現し、いざとなれば高い利回りで賃貸に回せる希少な優良資産を獲得し、それを相続していく。地元富裕層のしたたかで合理的な資産防衛策がこの現象に凝縮されている。
「こんな地方の高いタワマンなんて誰が買うの」と一般人が油断している裏で、真の資産家たちは最適なポートフォリオ構築へと動き出している。地方の億ション完売のニュースは、そんな残酷なまでのマネーリテラシーの格差を、私たちに突きつけているのだ。

