仕組みはシンプルだ。STYLUS 2WAYのペン先はボールペンになっている。紙は繊維が複雑に絡み合った凹凸があるため、ペン先のボールが回転してインクが出る。一方、iPadやガラスフィルムのようなツルツルした面ではボールが回転しにくく、インクも出づらくなる。ゼブラはこの摩擦の差で、インクの出る・出ないを制御する仕組みを実現したのだ。
この発想の起点となったのが、ゼブラ社内で「ツル抜け」と呼んでいた現象だ。これは印刷面や図面のツルツルした面で、ボールペンのインクが出なくなる現象のこと。本来、ボールペンは「どんな面でも書ける」ことを目指して改善していた不具合だった。この欠点をあえて活かし、「書ける場所と書けない場所に選択性を持たせる」という発想の転換が、STYLUS 2WAYの開発につながった。
ただし、実現までは地道な試行錯誤の連続だったようだ。開発においては油性チップ×油性インク、水性チップ×水性インクという通常の組み合わせの垣根を取り払い、ペン先とインクの組み合わせを70種類以上試したという。最終的に5年間の開発期間を経て、「油性チップ×ジェルインク」という異色の組み合わせが最適解として浮かび上がった。さらにインクの潤滑性のバランスを詰めるため、追加で400種類以上の試作を重ね、全く新しい配合のゲルインクを作り出した。
新開発インクの書き味はちょっと硬め
使い勝手もいい。STYLUS 2WAYは約160mmと通常のボールペン(約145mm前後)より長めのため、天面ノックでは親指が届きにくい。そこでサイドのクリップ部分をノックする方式を採用した。クリップを押し込むとペン先が出ると同時に電源が入る仕組み。ノック部の窓から青色LEDが光ってオン状態を知らせてくれる。
Bluetoothのペアリングは不要で、電源を入れればすぐiPadへ書き込める。ボールペンと同じ感覚で使える直感的な操作性は、筆記具メーカーならではといえそうだ。
インクはジェル0.5mm・黒インクで、純粋なボールペンとしてみると書き味は一般的なゲルインクペンより若干重めの印象だった。サラサ(ゼブラ)やジェットストリーム(三菱鉛筆)のような軽快さはなく、油性ペンほどの引っかかりもない——ちょうどその中間くらいの書き心地になる。油性チップにジェルインクを合わせた構造ならではの特性で、好みが分かれるポイントだろう。
スタイラスとしての性能はシンプルで文字を書いたり、ペン先で操作をするのは問題ない。純正のメモアプリはもちろん、GoodNotesやNotabilityでのメモ書き程度なら十分だ。ただし、筆圧検知・傾き検知機能は非対応なので、イラストや細かいデザイン作業には向かない。あくまで「デジタルノートに文字を書く」用途に特化した製品だ。
手を画面に乗せたまま書いても誤反応しないパームリジェクション機能にも対応。マグネットでiPadの側面に吸着するため、すぐ取り出して使える点も便利だ。

