一連の経緯を振り返ると、炎上の規模が大きくなるほど、実態からは遠ざかっていく。渡邉氏の「人は信じたい情報しか信じない」という一言は、いまのSNSを中心に巻き起こる炎上の構造を、端的に言い表しているように聞こえる。
度重なる騒動を機に、グリラスからは提携企業や投資家らが離れていった。全国展開を進めていたファミリーマートをはじめ、取引先とは商談の保留が相次ぎ、国の補助金も受けられず資金繰りのメドも立たなくなった。
グリラスが生き残る道はなかったのか?
「スタートアップで資金繰りができないとなれば、死刑宣告に等しい。会社にも『有害なものを売るな』と苦情の電話が殺到し、それに対応する社員が疲弊して離れていく姿を見るのはつらかった」
万策尽きた結果、グリラスは24年11月、徳島地方裁判所に自己破産を申請した。負債総額は約1億5000万円、設立から5年での幕切れだった。
とはいえ、気になるのは「どうすれば良かったのか」という点だ。スタートアップとしては、資金調達を重ねてステージを上げるために、会社の認知度を上げるのは必須だ。かたや露出を増やせば、批判の声も大きくなる。がんじがらめな状態に思えるが、生き残る道はなかったのか。
率直な疑問を投げかけると、渡邉氏は「いまも徳島大学でコオロギの研究を続けていて、2~3年後には再び起業を考えている」と口にする。後編では、倒産してからのその後に加え、今後どのようにビジネスを展開していくのかを探る。

