つまり、生成AIというのは、「参考にすべき何か」があると異常に強く、それがないと途端に凡庸になるツールなんです。ゼロから1を作る道具ではなく、1を100にする道具。ここを理解しているかどうかで、使い手としての差が決定的に開きます。
東大生の思考は、まさにこの「1を100にする」型
ここで、東大生の話に戻ります。まず前提として、東大生は実はゼロイチが得意な集団ではありません。
「東大生 = 天才 = 何もないところからアイデアが湧いてくる人」というイメージ、けっこう根強いと思うんですが、あれは本当のところ、そんなに正確じゃありません。彼らの本当の強みは、そこじゃなくて、「元になる型があって、それを参考にしながら、精度高く膨らませて整える」ことにあります。
思い出してみてください。受験勉強って、まさにこれなんですよ。過去問というゴールのサンプルがあって、参考書というインプットがあって、それを自分の中で咀嚼して再現していく作業。ゼロから新しい学問を発明しろとは、東大の入試は一言も言っていません。
「これまで人類が積み上げてきた知の体系を、正確に参照して、正確に応答しろ」というのが、東大入試の本質です。
だから、東大生は幼少期からこの訓練を積んでいる集団なんです。参考にすべき何か(=お手本、過去問、模範解答)がある状態で、それを分析し、膨らませ、精度高く再構成する。この動作を、6年、8年と繰り返してきた人たち。
一方で、たとえば自由な発想でゼロから何かを立ち上げる力に関しては、正直に言うと、東大よりも京大や、東京藝大あたりのほうが強いと感じます。「え、そこからそんな発想が出るの?」という驚きは、東大生から出てくることは少ない。彼らの驚きは、いつも「え、そんな精度で仕上げてくるの?」という方向のものです。


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