東京23区(以下、都区部)の日本人移動者の年間転入超過数は、2015年には6万8917人だった。しかし、2026年5月までの直近12カ月では3万8881人まで減少している。外国人移動者を含めると2万9439人となり、3万人を割る。この間、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の日本人移動者の転入超過数は12万人前後で推移している。首都圏への人口流入は続いているものの、住む場所が変わってきているのである。
これは、2つの人口移動パターンの結果とみられる。1つは、都区部から都区部以外へ転居する動きが強まったとみられること。もう1つは、地方から首都圏に流入する人のうち、都区部以外に住む人が増えていることである。端的に言えば、「もう都区部には住めない」——そう考える人が増えているのではないか。
住宅費の高騰が生む“郊外シフト”
主たる要因の1つは、住宅費の上昇だと考えられる。それは家賃でもあり、持ち家価格でもある。要は家が高すぎて、都区部には住めないという諦めの結果でもある。
実際、都区部では単身向けマンションの募集賃料が前年比12%程度上昇しており、引っ越しを検討する際にためらう人は多いだろう。マンション購入になると、東京23区の新築マンション平均価格は2013年から2025年までの間に2倍以上に上昇し、2025年には1億3613万円に達した。これと同じペースで自分の年収を上げた人はレアケースだろう。
郊外(都区部以外の首都圏、以下同)に住む現象は、1980年代後半のバブル経済の時にも見られた。その際には地価や家賃が高騰し、都心部の人口が減る一方で周辺部の人口が増える「ドーナツ化現象」が進んだ。

