一方、日本人の動態はどうか。大企業は東京に集中し、新卒採用も盛んに行われている。人は仕事があるところに集まる。ゆえに、大都市は若者を吸引しやすい。
日本人の転入超過数は、首都圏全域で毎年12万人ほどとなっているが、都区部では各年5月までの直近12カ月で、2024年の5万3806人から2025年に4万8526人、2026年には3万8881人へと急減している。一方、都区部以外は6万6063人、6万6198人とほぼ横ばいだったが、2026年には8万4394人へと大きく増えた。特に直近1年の動きが大きい。これは、都区部で募集賃料の上昇幅が10%を超える物件が出てきた時期と重なる。
通常、賃貸借契約は2年ごとの更新が多く、一定の周期で住み替えの機会が訪れる。しかし、住み替え先では現在より高い家賃を求められることが多い。コストを抑えたいなら、郊外に住むか、面積を小さくするなどの対応が必要になる。
住み替え層は、持ち家より賃貸居住者のほうが圧倒的に多い。年齢層も、若者のほうが移動者数は多い。単身者が多く、持ち家率が低いことの帰結である。現在の賃料上昇が空室率の低下による需給の逼迫から起きているとすれば、居住地の郊外化が進んでも、賃料が短期間で下がるとは考えにくい。
賃上げは住宅費に追いつくか
一方で、賃金は2023年以降、上昇基調にある。連合の春闘の最終集計では、定期昇給相当分を含む賃上げ率が3年連続で5%台となった。
しかし、企業の賃上げを後押ししてきた賃上げ促進税制のうち、全企業向けの措置は、2026年3月31日までに開始する事業年度への適用を最後に廃止されることになった。今後、賃上げが住宅費の上昇に追いつかなければ、家賃負担が重くなる人は増えるかもしれない。賃貸居住者の郊外化の波は、当面収まりそうにない。

