その後も持ち家価格や家賃が上がった時期はあったが、郊外に住む傾向は生まれなかった。それには、世帯人員の減少が大きく影響していると想定している。4人世帯より3人世帯が増え、3人世帯より2人世帯が増え、2人世帯より1人世帯が増える中で、職住近接や共働きのニーズが強くなった。世帯に占める働き手の割合が増えれば、世帯の可処分所得も増える。世帯人数が少ないほど、住み替えもしやすい。こうして都心寄りに住む世帯が相対的に増えた。しかし、今回の郊外への移転は、それも限界に来たということだろう。
外国人は都区部で転出超過に転じた
この人口動態を日本人と外国人に分けて把握しておこう。なお、以下は日本国内で住所を移した人の転入超過数であり、海外から日本に流入した人数を示すものではない。
2024年5月までの直近12カ月では、首都圏全域の外国人の転入超過数は1万6936人。うち都区部が6625人、都区部以外が1万311人だった。これが2025年5月までの直近12カ月では、首都圏全域で9863人に減少する。都区部は926人の転出超過に転じた一方、都区部以外は1万789人の転入超過を維持した。
この傾向はさらに進む。2026年5月までの直近12カ月では、首都圏全域の転入超過数は5147人まで減少した。都区部は9442人の転出超過となる一方、都区部以外は1万4589人の転入超過となった。外国人の転入超過の中心は、都区部から都区部以外へと大きく移っている。
こうなる理由は、筆者が外国人労働者に行ったヒアリングからもうかがえる。ヒアリングでは、仕送り額を重視する声が聞かれた。賃金が物価上昇以上に上がらなければ、仕送り額は減ってしまう。そんな中、家賃の高騰は都区部に住む際の生活費上昇に直結し、仕送りを削る要因となる。家賃を下げるために郊外を選ぶのは、コスト削減の必要に駆られている面がある。

