ちなみに「大企業・非製造業」も1ポイントの改善であったし、「中小企業・製造業」も2ポイントの改善となっている。設備投資意欲も底堅く、価格転嫁への積極的な姿勢もうかがえる。日本企業は意外とたくましいようなのである。
アメリカにおける昨今のAI関連投資ブームにより、台湾や韓国経済に追い風が吹いているのはよくわかる。半導体輸出が活況を呈し、台湾の今年の経済成長は9%台になる見通しだ。その点、日本はどうか。対米輸出は確かに伸びていて、それも半導体等電子部品、半導体製造装置、重電機器、原動機、非鉄金属などが好調である。つまりデータセンター需要ということだ。貿易統計を見る限り、AIブームの追い風は確実に日本にも吹いている。
戦争という極限状態で、イノベーションが起きやすくなる
ということで、「戦争vs.技術」が交錯する中に今の世界経済がある。しかし少し見方を変えてみれば、「戦争=技術」であるとも言えないだろうか?
よく「戦争は発明の母」といわれる。レーダーやロケット、原子力からインターネットやGPSまで、軍事から派生した民生用技術は数限りがない。変わったところでは「参謀本部」という組織や、「GDP」(当時はGNP)という経済統計なども、戦争が契機となって誕生している。
要は戦争という極限状態においては、各国が平時の決まりごとを棚に上げて、全力で物事に当たるようになる。ゆえに善きにつけ悪しきにつけ、イノベーション(技術革新)が起きやすくなる。そして今もイランやウクライナでは戦争が行われているから、われわれは同時進行的な変化を目撃することになるわけである。
まずはAIの進化について。米軍は複数のテクノロジー企業と提携し、情報分析から攻撃目標の選定、サイバー防衛やロジスティクスの最適化まで、幅広い分野でAIを活用している。年初に行われた米軍によるベネズエラ侵攻は、あまりの手際の良さに世界が驚いたが、米アンソロピック社の技術が投入されたといわれている。その後、AI利用の倫理問題をめぐって、同社とペンタゴン(国防総省)の間では対立が表面化している。
次にドローンの利用を挙げなければならない。こちらは「弱者の武器」として効力を発揮している。イラン軍は安価なドローンを使用して、湾岸の米軍基地や石油生産施設への反撃を行った。米軍はこれらを高価な精密誘導弾で撃ち落とさねばならず、これはどう見ても米軍が不利である。お陰で迎撃ミサイルの在庫が減ってしまい、今後は増産に努めねばならない。意外にも現代戦では兵器の「質」よりも「量」が大切で、防衛産業の生産能力とレジリエンス(耐久力や復元力)、あるいは国家の財政余力がカギを握るらしい。

