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ライフ #サオリス・ユーフラテスの数字の向こう側

「インバウンド価格とは真逆!」牛串350円、唐揚げ280円、天然まぐろ丼1000円…北九州《100年市場》の底知れぬ魅力

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旦過市場
「北九州の台所」として100年以上続いている「旦過市場」(写真:筆者撮影)
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平日の午前10時。品物が並んでいる店もあれば、まだシャッターが降りている店もある。開店時間は店によりけりのようだ。市場を歩く女性に声をかけると、病院の帰り道だという。自転車を引くおじちゃんにも聞いてみると、近くで30年、飲食店を営み、毎日ここで仕入れているという。荷台の段ボール箱には、仕入れたものがぎっしり詰まっていた。

屋根もあるから、雨でも日差しが強くても歩きやすい。駅と街のあいだにあるこの市場は、プロも仕入れにくるし、地元の人の通り道でもある(写真:筆者撮影)

北九州民に教えてもらった、あの味

最初に向かったのは、ぬかみそだき「ふじた」。ぬかみそだき?となる人も多いのではないか。私自身もそうだった。ぬか炊き、とも呼ばれるぬかみそだきは、北九州市小倉の郷土料理だ。イワシやサバなどの青魚を醤油やみりん、砂糖などで煮込んだあと、熟成したぬか床を加えて炊き上げている。

ふじたのぬかみそだき。サバとイワシ、どちらも450円。どちらも旨いが私はサバが好きだ。近所の北九州民のなかにも、サバ派とイワシ派がいる(写真:筆者撮影)

筆者がぬかみそだきを知ったきっかけは、ある日、北九州出身のご近所さんがお土産に持ってきてくれたことから。その日、初めて食べたぬかみそだきは、よくある魚の煮付けでもないし、サバの味噌煮とも違っていた。

「うちの実家は子どもの頃から、ふじたさんのぬかみそだきって決まっとるけん」。北九州民にとってのぬかみそだきは家では作らずに、お決まりの店で買うものらしい。

取材の日、サバとイワシのぬかみそだきを買って、近くの飲食スペースで食べた。1尾450円だ。箸を入れると、サッと切れる。骨まで柔らかく煮込まれていてぜんぶ食べられる。こっくりとした甘辛さに、ピリッとした旨みも感じる。ぬかみそだきでしか味わえない味がある。市場の片隅で、白飯が恋しくなった。

店主の藤田崇秀さんに話を聞いていると、常連のお客さんがやってきた。筑豊地区の田川から車で1時間かけて、ふじたのぬかみそだきを買いに来たという。わざわざ? と聞く私に、「ここの味があるけん」と笑顔で即答してくれた。

田川から車で1時間かけて来たという常連さん。藤田さんとの会話がはずむ(写真:筆者撮影)

ふじたのぬかみそだきは、40年以上、味も素材も変えていないのだという。原材料が上がっても、質を落とさない。だから値段は上げざるをえない。「常連さんは、食べたら分かるから」と藤田さんはにっこり笑う。

「崩すのは簡単やけど、守るのが一番大変ですよ」

ぬかみそだき作りは、毎朝、門司の本社工場で、創業者である父・浩三さんが、魚をさばくところから始まる。ぬか床は代々伝わるもので、鷹の爪や山椒を加えながら、大事に育てているという。さばく工程を除いて、およそ7時間かけて炊き上げることで、骨まで丸ごと食べられるあのぬかみそだきが出来上がる。

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