例えば、英語では語彙リストを作り、単語数を減らすことが検討されているし、社会科では「教科書の用語の精選も含めた教科書の精選の在り方」を検討するとしている(令和8年7月15日社会・地理・歴史・公民ワーキンググループ資料2)。
歴史の授業などでたくさんの用語を覚えることで辟易した経験をしたことがある人は多いと思うが、そうした教室の風景は、過去のものとなるかもしれない。今後の教科書づくりにも注目だし、それに伴って高校入試や大学入試が変わるのかも、問われる。
② 教職員が勤務時間内で授業準備できる体制をつくれるか
第2に、調整授業時間数制度を活用しても、はたして十分な時間を生み出すことができるのかどうか。私が懸念するのは、今回の学習指導要領改訂の後、子どもたちと教員の負担を大きくせずに、授業を充実させられるかどうかは、調整授業時数などの学校裁量を学校が活用するかどうか、「あとは学校の工夫次第ですよ」という言説が強くなることだ。
今でも個々の学校のカリキュラムの編成と実施は校長責任の部分は大きいので、文科省の「責任転嫁」というと語弊を含むものとなるが、文科省の役割から目をそらしてはいけない。先ほど、週28コマで組めると例示したが、本来の文科省の仕事は、個々の学校の裁量や工夫ばかりを求めることではなく、勤務時間中に普通に(十分に)授業準備する時間をとれる環境をつくること、教職員数をはじめ基礎条件を整備することのはずだ。
私は、これまでも繰り返し述べてきたが、現状では週26コマ以上授業を担当する教員は小学校で約4割いて(関連記事)、授業を担当しない時間がほとんどないため、勤務時間中に授業準備をしきれない。
こうした余裕のない状態では、たとえ多少教科書が精選されたとしても、最大で10教科前後も準備する小学校教員は過重労働なままだし、「自分はやっていけるだろうか」と不安視されるから、教員人気も復活しないだろう。
イギリスでは、以下のように授業準備等の時間、PPA Timeを設けることが義務化されている。
(出所)国立教育政策研究所『教育分野の公務労働に関する調査研究報告書3諸外国における教員の働き方改革』
対照的に日本の学校では、授業を担当しない時間や放課後にも、会議や事務作業、保護者対応、不登校の子への支援などが普通に入るため、授業準備は夜遅くとなる人も多い。また、言うまでもないが、情報教育や探究を今後いっそう充実させたいといっても、専門性の高い教員の確保が最も大切な条件だ。
ところが、現状でも情報の専門性を有する教員は不足がちであり、約25%は正規の免許がない状態で授業している(臨時免許状または免許外教科担任制度という応急措置的なものでしのいでいる)。この状況には都道府県格差も大きい。
情報教育が強化されても、教員確保が間に合うかどうか。文科省は動画など教材も充実させると述べている。小中学校等にとって助かるとは思うが、知識の活用や探究的なものとなれば、動画だけでは対応できない。
探究的な学びについても、授業が詰め詰めで、教員自身が探究する余裕のない状態では、良い指導ができるとは思えない。


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