D氏のようなケースは、決して珍しくない。部長がおらず、課長をしながら部長の役割まで果たしている人。部長なのに、課長不在のため課員のマネジメントまで担っている人。本部長に上がっているのに、課長のように現場対応をしている人もいる。
かつてはキャリアを重ねれば順当に昇進し、管理職のポストはしっかり埋まることが慣例だった日本組織のピラミッド構造が今、崩れているのだ。なぜか。
その要因の1つが、中堅層の絶対的な不足だ。組織の年齢構成に「くびれ」が生じている。
バブル経済崩壊後の長期にわたる不況下で、企業は人件費を抑制し、新入社員の採用を大幅に絞り込んだ。そのため、1993年から2004年に卒業を迎えた世代(おおむね1970年代~1980年代前半生まれ)は、厳しい環境の中で就職活動を余儀なくされた。いわゆる「就職氷河期世代」だ。
文部科学省の「学校基本調査」によると、大学卒業者の場合、1993年から2004年の就職率平均は69.7%。その期間を除く1985年~2019年の平均は80.1%なので、10%ポイント以上も低い。同時期の高等学校卒業者も70.9%と、平年の78.1%よりも7%ポイント程度差がある。
「管理職ポスト空席」問題
内閣官房のデータ(2022年時点)によれば、就職氷河期世代の中心層のうち、約379万人が非正規雇用労働者として働いており、そのうち約39万人が「正規の仕事がないため」という“不本意非正規雇用”となっている。
この世代は団塊ジュニアとも重なり、人口自体は非常に多いにもかかわらず、正社員として企業に入れた人数は少ない。つまり「世代の人口ボリューム」と「企業内の在籍者数」がねじれているのだ。これが、組織における年齢構成の「くびれ」を作った。
近年、政府の支援策によって非正規から正規雇用に転じるなど、正社員になった就職氷河期世代は増えた。しかし、中途採用や途中から正規雇用に転じた人は、生え抜きのような「管理職候補としての育成ルート」へのハードルは高い。

