今回の日清食品の挑戦を見ていると、筆者はカップヌードル発売当時の歴史を思い起こす。
当時も単なる新しいラーメンとして登場したわけではなかった。容器入りでどこでも食べられるという新しい食体験を生み出したのである。
「冷しカップヌードル」の本当の価値
今回も似た構図がある。「冷しカップヌードル」の本質はレモン味やキムチ味のフレーバーではない。さらに言えば冷たいことですらない。
本当の価値は「熱湯からの解放」にある。
冷たいカップ麺はこれまでも存在した。しかし、それらはすべて熱湯という前提の上に成り立っていた。
今回の日清食品の挑戦は、その前提そのものを取り払ったことに意味がある。今後、この技術がどこまで広がるかは分からない。
他社からも多数冷やしの商品が登場するかもしれない。アウトドア市場や海外市場、防災市場への応用も考えられるだろう。
少なくとも言えるのは、今回の商品が単なる期間限定商品で片付けていいものではないということだ。5年をかけて開発された「コールドリハイド製法」は、新しい味ではなく新しい技術である。
そして技術は市場を変える力を持つ。発売から55年。カップヌードルは再び、自らの常識を壊そうとしている。
「冷しカップヌードル」は、その第一歩として十分に興味深い一杯だった。


