加えて、技術の進歩もある。その典型例が、今回紹介しているマッチだ。ライターやバーナーなど着火装置の普及によって、使い捨てであるマッチの立場は変化していった。日東社は今回のバズを受けて、以下のように投稿している。
「私たちの目標はバズることではありません。(中略)『マッチってまだ面白いんだ』と感じてくださる方が一人でも増えたなら、これ以上うれしいことはありません」
同社はライターも取り扱っているが、マッチ箱に始まり、マッチそのものの製造に至ってから100年以上の歴史がある。現在、国内でマッチを一貫製造できるメーカーはわずか2社。日東社は、マッチ産業の街として栄えた姫路に残る、最後の1社だ。
ちなみに、公式サイトの「よくあるご質問」コーナーでは、「どこに売っていますか?」「火の付け方を教えてください」「捨て方を教えてください」など、初歩的なところから説明されている。それだけマッチの使い方を知らない人が増えているということだろう。
バズった企業は“キッカケ待ち”でしかなかった
「歴史と伝統を持っていながら、なかなか注目されない」というストーリーは、受け手に好印象を残す。こうした“感情を呼び起こすコンテンツ”は、SNSと親和性が高い。だからこそ、逆に炎上を招くこともあるのだが、今回のような美談ではあまり心配しなくてよいだろう。
もっとも感情といっても、一方的に「知ってほしい」ばかりではダメだ。それを裏打ちするような技術力や、派手ではないにせよ、長年愛されてきたブランド力がなければ、見向きもされない。
そう考えると、今回「バズりたい」と願って実際にバズった企業の多くは、すでに十分な条件を満たしていたと言える。つまりは「見つかるべくして見つかる存在」であり、“キッカケ待ち”でしかなかったというわけだ。
そして、そのキッカケは、意外と近くにあるのかもしれない。SNSであれば、スマートフォン(と社内の理解)さえあれば、比較的カンタンかつ、安価に始められる。当然ながら、それがバズるかは別の話であり、実際に芽が出ない“公式アカウント”も多々ある。

