筆者は昨年、同志社国際高からアメリカの大学で野球をすることを志していたフォーク黒田レイモンド豪(レイモンド)を取材した。父親がアメリカ人、母親が日本人というレイモンドは、アメリカでの野球を志し、高校2年の夏に渡米。スタンフォード大学の野球キャンプに参加した。この機会に、アメリカの高校野球選手100人を対象にアンケートとフォローアップ調査を実施した。
野球の競争レベルが極めて高いスタンフォード大学
レイモンドはその結果を、2024年の日本野球学会で発表した。発表は「アメリカの高校野球選手の『スカラーアスリート』に対する認識とキャリア展望に関する探索的研究」と題したもので、高校の部の最優秀賞を受賞した。その内容は、スタンフォード大学野球部の夏季キャンプに参加する選手たちは「勉強も野球も同じくらい重視している」というものだった。
レイモンド自身も身長190cmで、球速は140km/h近く。投手としてプロのスカウトからも注目されていたが、彼自身はアメリカで学ぶことを志していた。
レイモンドはスタンフォード大を志望しなかった。学力面とは別に、スタンフォード大は野球の競争レベルも極めて高く、試合に出られない可能性があると判断したからだ。ちなみにスタンフォード大は、殿堂入り投手のマイク・ムッシーナなど、多くのメジャーリーガーを輩出している。
レイモンドからは今年になって「ミドルベリー大学に行くことにしました」と連絡が入った。アメリカの歴史ある名門リベラルアーツ・カレッジで、大学野球ではNCAAのディビジョン3に所属している。彼はミドルベリー大学のD3レベルでプレーして、可能ならD1に移籍してプロを目指したいという。野球選手としてのキャリアをまっとうした後に、アメリカ、あるいは日本で大学院に進学して、スポーツ科学の研究者を目指したいと考えている。
ここまで見てきたように、「アメリカの名門大学で野球をする」というのは、単に「勉強も野球もできる」ことを意味しない。テストに受かるためだけの勉強ではなく、自身で課題を見つけて取り組んだり、論文やレポートを書いたり、研究発表をしたりするなど、総合的な「知的活動」をしつつ、それを野球にも生かしていくということなのだ。

