当時、活字離れの影響もあり、書店は本以外の商材を探していたそうだ。書店に子どもを連れてくる親は、知育に関心のある傾向が高い。見慣れないブロックとはいえど、児童書エリアに置いてあり、子ども達が自分の頭で考えて楽しそうに遊んでいる様子を見た親が、「自ら考えて組み立てる知育ブロック」に飛びついた。
これを好機ととらえた吉條さんは、関西一体の書店をしらみ潰しに飛び込み営業して回った。それだけにとどまらず、東京や九州にもホテルに泊まり込みで営業をかけた。
書店の売り場には、手にとって遊べるLaQ、完成形の作品、商品をズラリと並べた。書店のスペースによって配置も変えた。書店の入り口付近か、奥まったところに置かれるかで、客の目につく頻度も変わるからだ。
LaQは、ただ置いているだけでは売れない。目の前で子どもが夢中になって遊ぶ様子を見て、親は購入に踏み切る。体験コーナーこそが重要だった。
「書店のどこにLaQの体験コーナーを置いてもらえるかは、書店との交渉次第です。書店との関係が強くなれば、より良い条件で設置させてもらえます。当時、社長はそこに時間をかけていたと聞きました。今も営業担当者は、売り場に力を入れてくれる書店との関係構築にしっかりと時間をかけています」(河部さん)
「LaQをうちの店にも置かせてほしい」と問い合わせも
書店に集中的に営業をかけたことで、徐々にLaQの認知度は広まった。実際に使用する子ども、親たちの口コミで売り上げが加速した。保育園や幼稚園、学童保育でも知育玩具として導入され、海外からも注文が入り始める。
すると、これまで相手にされなかった玩具店から「LaQをうちの店にも置かせてほしい」との問い合わせも増えた。現在では、全国の書店や玩具店など約3000店舗で販売される。業績も右肩上がりだ。
だが、不思議なのはここからだ。ヨシリツ株式会社では、長期の売り上げ目標を立てない。AIも使わない。さらに、「知育玩具」に特化して商品を販売しているわけではないという。なのになぜ、LaQは世界中で売れ続けるのだろうか──。後編でその謎を解き明かす。


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