大塚さんのこだわりは、日常のなかで繰り返される小さな不便をひとつずつ潰していくところにある。
ゴミ箱を置くスペースまでこだわった。洗面台の前にゴミ箱を置いている家庭は少なくないが、大塚さんは扉を開けるたびにどかさなければならないのがストレスだったという。
「90cm幅の洗面台を入れられると言われたのですが、ゴミ箱を置くスペースを考えて、あえて小さい75cm幅の洗面台にしたんですよ」
なぜ普通なら大きくしたいところを、あえて小さくしたのだろうか。その裏には「家族は絶対に洗面台にモノを置きまくるという予測があった」と大塚さん。確かにモノをあれこれ置けないサイズにすれば、散らかりようがない。
ダイニングテーブルの選び方にも、同じ考えが表れている。実家では大きなテーブルが通路をふさぎ、人が座ると後ろを通りにくかった。平屋では長さ2mのテーブルを選びつつ、幅は70cmに抑えた。人が座っていても後ろを通れるよう、日常の動線を邪魔しないことをサイズ選びの基準にした。
「自分が面倒くさがり屋だから想像できるんです。普通の人だったらちょっとした不便も日常になっていくと思うんですけど、私はずっと根にもってます(笑)」
平屋での暮らしで、自分の「合理性」を言語化できるようになった
平屋を建てた翌年、大塚さんはインテリアアプリで暮らしの工夫を発信しはじめた。整理収納アドバイザーの資格を取ったのも、この発信がきっかけだった。
「最初は『せっかく家を建てたし』という軽い気持ちでした。片付けをラクにする仕組みを考えたりつくったりするのが好きで、それを投稿してたら勧めてくださる方がいて、整理収納アドバイザーの資格を取ってみたんです」
それまで大塚さんは、自分のことを「インテリアが好きなズボラ」だと思っていたという。片付けが得意なわけではなく、面倒なことを避けたいだけ。けれどSNSで発信するうちに、フォロワーから「すごく合理的ですね」と言われるようになった。
「自分では普通のことだと思ってたけど、ほかの人からしたらすごく合理化していると受け止められて。『私はそういうタイプなんだ』と気づきました」
たとえばトイレを2つ設けたうえで、その先に洗面台を配置した。一般的にはトイレごとに手洗い器をつけるが、トイレを出てすぐの位置に洗面台があればそこで手を洗える。手洗い器の数だけ掃除が増えるのが面倒だったのだ。大塚さんにとっては当たり前の発想だったが、SNSで発信してみると反響が大きかったという。

