HIMAには前述したSERESの「問界(AITO)」に加え、奇瑞汽車の「智界(LUXEED)」、北京汽車集団の「享界(Stelato)」、江淮汽車の「尊界(Maextro)」、上海汽車の「尚界(Shangjie)」など、それぞれ「界」の文字を含む複数のブランドが参画している。消費者は「名前に『界』が付く=ファーウェイ系のスマートなEV」と認識しやすく、ブランドを横断して共通のEVプラットフォームが使われていることをネーミングから伝えている。
HIMAの強みは複数のメーカーを束ねた結果、「数」が出ることだ。2025年の中国NEV市場で、HIMAはブランド連合として販売台数約58.9万台、シェア4.6%と、ランキング6位に入っている。これは5位に位置するテスラの62.57万台、4.9%に次ぐ数字だ。 一方、シャオミのEVは41.18万台、3.2%で10位。HIMAに引き離されているとはいえ、単独メーカーかつ参入から約2年でこの数字は十分健闘していると言える。
国内制覇と海外展開、異なるターゲット
ファーウェイのHarmonyOSは、中国ではスマートフォン、タブレット、PC、家電、そしてHIMAのEVなど幅広いデバイスに採用され、機器間でシームレスな連携ができるなど、巨大なエコシステムを築いている。数億台規模の端末が一般消費者だけではなくビジネスや行政など広い用途で採用され、中国国内ではグーグルのAndroid、アップルのiOSに次ぐ第三のOSという地位を確保している。
しかし、この強みは中国の国境を越えた途端に目減りする。海外ではファーウェイ端末を販売する国が少なく、海外モデルにはHarmonyOSが搭載されていない。家電やIoTデバイスの中にはHarmonyOSを搭載するものもあるにはあるが、スマートフォンのHarmonyOSを中核とするスマート家電からEVまでのシームレスな連携は展開しにくい。すなわち今後HIMAの各社がスマートEVを海外展開する際に、HarmonyOSベースのエコシステムでは中国国内のようなメリットを各国の消費者にアピールすることは難しいだろう。
なお中国国内だけを見ればHIMAに参加せず、HarmonyOSやそれを車載向けとしたHarmony Spaceだけを採用する自動車メーカーも増えている。中国AVATR、東風日産(ティアナ)、広汽トヨタ(bZ7)など、ファーウェイのエコシステムは着々と広がっているのだ。ファーウェイの戦略としては、海外への拡大よりもまずは中国国内で圧倒的な規模と技術標準を築き上げ、EVの中心的存在になることを目指しているように見える。

