「実務家教員」という言葉はいずれなくなる
前回は、桜美林大学芸術文化学群教授の林秀紀氏が三菱電機、サムスン電子を経て、40代後半で研究者の道へ進み、ゼロから独自の研究領域を築き上げるまでを追った。今回は、採用側のリアルな視点から「実務家教員採用」の20年後の未来を読み解く。
中央大学国際経営学部学部長の木村有里氏は、「実務家教員」という言葉そのものがいずれなくなると言い切る。純粋なアカデミア教員が減り、社会人経験を持つ教員が多数を占めるようになると、実務家教員という区分自体が意味を失うというのだ。
どういうことか。背景には、少子化と経済的事情がある。学部から大学院にそのまま進学する日本人学生はそもそも減少傾向にあることが最大の理由だという。
「景気がよかった頃に比べると、大学を卒業して、そのまま5年、6年と大学院で研究を続けるのは、経済的にも簡単ではなくなっています。だから、一度社会に出て働いて学費を貯めるなりしてから大学院へ進もうとか、留学しようとか、そう考えざるを得ないでしょう」と木村氏。
その結果、純粋なアカデミアルートを歩む人材より、いったん社会に出てから大学院、教職へと進む人材の比率が必然的に高まり、採用試験ではそういった人同士の競争が一般的になる(下図参照)。
木村氏自身、純粋アカデミアの中で長く過ごす者は「実社会の危機感をあまり肌では感じない」、いわば“象牙の塔”の住人だと振り返る。だからこそ今、その塔の外から来る教員の比率が増えていくことに、確かな手応えを感じているという。
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