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アップルに"医師"がいる理由、睡眠専門医が明かす、Apple Watchが病気を見つける仕組み

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Apple Watch
毎朝の睡眠を採点してくれるApple Watch。その数字の裏側では何が起きているのか(写真:筆者撮影)
  • 草刈 和人 テックメディア「ゴリミー」運営
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ここで各社のアプローチの違いが見えてくる。実は、スマートウォッチによる睡眠時無呼吸検出でFDAの承認を先に得たのはサムスンだ。2024年2月、サムスンはGalaxy Watchの機能について、この種のものとしては初のFDA承認(De Novo)を取得したと発表した。ただし、その検出の考え方は血中酸素の変動を主な手がかりとするもので、2晩の測定を10日以内に行う設計になっている。フランスのWithingsも、ScanWatchで血中酸素センサーを使い、医療グレードの睡眠時無呼吸検出を提供してきた。フィットビット(グーグル傘下)も、推定酸素変動という指標で睡眠中の呼吸の乱れの兆候を示してきた。

つまり、多くのメーカーが「血中酸素の低下」を主な入り口にするなかで、アップルは「呼吸に伴う体の動き」を加速度センサーで捉えるという、やや異なる道を選んだことになる。これは優劣の話ではなく、思想と設計の違いだ。筆者の見立てでは、消費電力の小さい加速度センサーを軸に据えたことが、毎晩の連続計測を無理なく続けられる設計につながっている。

睡眠スコアに、一喜一憂しなくていい

技術の話に加えて、筆者の印象に強く残ったのは、ビアンキ氏の人柄がにじむ一言だった。取材のなかで筆者は、毎朝の睡眠スコアが低いと落ち込んでしまう、と正直に打ち明けた。すると彼は笑顔で「素晴らしいですね。でも、自分に優しくしてあげてください」と返したのだ。スコアが「まあまあ」でも、それが健康を保つ軌道に乗る助けになっているなら、それで問題ないという。

睡眠スコアだけではなく、覚醒やレム睡眠の回数をついつい気にしてしまう(写真:筆者撮影)

この言葉は、数字を作っている当事者から出たからこそ重い。スコアは人を追い詰めるためのものではなく、行動のきっかけを与えるためのものだ。医師が開発に関わっているアップルらしい、抑制の効いた健康観だと感じた。

この発想は、機能の設計にも通じている。アップルの「バイタル」アプリは、心拍数や呼吸数、皮膚温、血中酸素、睡眠時間を一覧できるが、その本質は他人と比べることではなく、自分自身の平常値から外れていないかを見る点にある。誰かのスコアと競わせない設計は、フィットネストラッカーがしばしば「頑張りの競争」に傾きがちなことを考えると、静かだが重要な違いだ。

心拍数や呼吸数などを一覧できる「バイタル」アプリ。他人ではなく自分の平常値と比べる(写真:筆者撮影)
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