さらに気分を安定させるセロトニンの材料となるトリプトファンが、生理前には脳に取り込まれにくくなることが知られており、これも糖質への渇望を高める一因と考えられているのです。
糖質を摂ることでトリプトファンが増え、セロトニンが一時的に補われるため、体が無意識のうちに甘いものを求めてしまいます。この波が予測できるという事実こそが、対策を立てやすくする出発点です。
毎月ほぼ同じタイミングで訪れる渇望には、事前の設計が一番効きます。完全に禁止しようとすると、我慢が限界を超えた瞬間に一気に崩れてしまうのです。
たとえば、「ダークチョコレートを2かけ」「小さなプリンを1個」といった安全枠を、量と時間の両方であらかじめ決めておく。こうすれば、欲求を満たしながら過食を防ぐことができます。
生理前の「甘いもの欲」と戦う必要はありません。波が来ることを前もって知っていれば、安全な場所に着地する準備ができます。罪悪感を手放して、「今月もこの時期が来た」と淡々と受け止める。そんな姿勢が、長く続けられるダイエットの土台を作っていきます。
「ホルモンバランスの乱れ」が招くさまざまな症状
「ダイエットを頑張っているのに、なかなか体重が減らない」という経験を持つ女性の中には、排卵がうまくいきにくい女性の体質であるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)が関係しているケースがあります。
PCOSは生殖年齢の女性のおよそ1割に見られるホルモンの病気で、月経不順、体毛の増加、ニキビ、体重増加といった症状を伴い、不妊の原因にもなりえます。
モナッシュ大学のモランらは、アンドロゲン過剰・PCOS学会の専門家パネルとして、PCOS患者の肥満管理に関するエビデンスを包括的に整理しました。その中で明確に示されたのが、「生活習慣の改善(食事・運動・行動変容)を一番最初の選択肢とする」という方針です。
とりわけ注目したいのは、体重をわずか5〜10%減らすだけで、ホルモン環境、生殖機能、代謝が改善する可能性があるという知見です。体重60kgの方であれば、3~6kgの減量が状況を大きく変える分かれ目になりうるということ。
PCOSがやせにくさを生む最大の理由は、血糖を下げるホルモンが効きにくい状態、つまりインスリン抵抗性にあります。

