外壁を塗り替え、内装を一新し、間取りをすべて変えた。1階にあった居酒屋もコインランドリーも解体し、建設会社の事務所として借りてもらった。
2階と3階はワンルームにつくり替え、賃貸に出した。やがて、満室になった。
明るい雰囲気の「子ども食堂」として新たなスタート
そして2026年1月、1階の一角に子ども食堂がオープンした。
壁は明るい色に塗られ、かつての面影はない。
かつて、闇金の事務所だった場所。首を吊った人がいた場所。ハンマーで何度も殴られて死んだ人がいた場所。
今そこで、子どもたちが食事をしている。
亀澤はエプロン姿でキッチンに立ち、腕を振るう。
ポケットには、子どもたちの間で流行(はや)っているシール帳を忍ばせている。
「これ持ってる?交換しよ」
子どもたちとシールを交換しながら、会話をする。学校のこと、友だちのこと、好きな食べ物のこと。そんな何気ない会話と笑い声が、かつて重苦しい空気に包まれていたこの場に響いていた。
そして今では、毎回、百数十人を超える子どもや親子が訪れ、行列ができる場所へと変貌している。“事故物件”と呼ばれた建物は、今“地域の居場所”として、多くの笑顔を集めている。


