今国会の残り会期が3週間となる中、高市早苗首相が突然持ち出した「秘書の陳述書」に野党が猛反発。終盤国会の重要法案審議にも影響を及ぼしかねない状況となっている。
「中傷動画」や暗号資産「サナエトークン」に関する一連の高市陣営の疑惑において、“中心人物”とされる公設第一秘書の木下剛志氏。野党側が国会招致を求めているこの人物について、高市首相は22日の衆参予算委の集中審議の中で「本人の陳述書を提出することで答弁に代えたい」との考えを示し、与党もこれを受け入れた。
ただ、「過去にない事例」(衆院事務局)だけに、野党側は「国会審議の重要性を無視する前代未聞の対応」(立憲民主党幹部)として、衆参の国対委員長会談で「撤回しない限り、今後の各法案の審議日程協議にも応じない」(同党の斎藤嘉隆国対委員長)と通告。混乱が拡大している。
与野党双方が首相の対応を疑問視
そもそも、「陳述書」案は「22日の集中審議の直前に高市首相サイドが坂本哲志衆院予算委員長に伝えた」(自民党の国対幹部)とされる。だが、これをきっかけに理事会協議は混乱し、開会が遅れる事態となった。
与党内からも「こんな奇妙な対応をしたら、疑惑追及に火に油を注ぐだけ」(同)という不安や批判が相次ぐなど、与野党双方が高市首相の対応を疑問視する「異様な状況」(自民党長老)となりつつある。
多くの自民党有力議員は「初めから素直に秘書の関わりを認めていれば、こんな騒動にはならなかった。片意地を張って居丈高に否定するから、答弁修正に追い込まれる結果になった」(閣僚経験者)と首を傾げる。
そのため、国民も注視する中で政府が月内に閣議決定・国会提出するとみられる皇室典範改正案だけでなく、高市首相が掲げる「国論を二分する政治課題」となる各種重要法案の審議をめぐる与野党協議も難航必至。国会関係者の間から「高市首相が自らまいた種なので自業自得」と、冷笑すら漏れてくる。

