委員会室が騒然となる中、坂本予算委員長はすぐさま、「陳述書を私が預かり、理事会でご協議いただきたい」と、これを引き受けた。
国会で答弁をせず陳述書を提出するという今回の高市首相の提起については、国会関係者も「首相や大臣が、答弁を陳述書に代えた例は記憶にない」(衆院事務局)と首を傾げるばかり。それだけに、野党側は木下秘書の参考人招致を強く求めているが、現時点で自民党は拒否する構えを崩さない。
今回の高市首相の「陳述書」案には、自民党内からも「陳述書という紙を出しただけで、疑惑の追及が終わるわけがない。(野党の追及に)火に油を注ぐことになりかねない。どうして高市首相の側近は止めなかったのか」(長老)との声が相次ぐ。
というのも、「高市首相サイドが提出する『陳述書』だが、内容次第ではかえって疑惑を拡大させ、国民の信頼も失うリスクが大きい」(政治ジャーナリスト)との見方が少なくないからだ。
W杯で今国会を切り抜けても前途多難
そうした中で高市首相の周辺が期待するのは、サッカー・ワールドカップ(W杯)での日本の健闘ぶりだ。26日朝(日本時間)には日本対スウェーデン戦が行われる。この試合で日本が勝つか引き分けに持ち込めば、グループリーグ突破が確定。「新聞やテレビだけでなく、すべてのメディアがサッカー一色となるのは火を見るより明らか」(政治ジャーナリスト)だ。
こうした状況も踏まえて、高市首相周辺には「グループリーグ突破の場合、高市首相が自ら森保一監督に電話をかけて勝利をたたえれば、サッカーファンも大喜びするはず」というアイデアも浮上しているとされる。
これまで8カ月の高市政権を振り返れば、「ピンチになっても、巧みな弁舌やしたたかな立ち居振る舞いで乗り越えてきただけでなく、なぜか世の中の動きを味方につけられる強運の持ち主」(同)であることも否定できない。
ただ、多くの政界関係者は「疑惑にふたをしたまま、小手先の細工で何とか今国会を切り抜けられたとしても、宰相としての資質は問われる続けることは避けられない」(自民党長老)と口をそろえる。高市首相の正念場は今国会が閉会した後も続くのは間違いない。

