アルゴリズムによる強力なレコメンドによってヒットが生まれる構図は、音楽以外でも様々な形で知られている。例えばNetflixのオリジナルドラマや映画の制作は、その躍進の原動力になったと同時に、ハリウッドなど既存の映像コンテンツ作りの現場に大きな変革をもたらしたと言われている。Netflixは過去10年間で1350億ドル超という巨額の資金を映画やシリーズ制作に投じ、世界同時配信を通じて映像コンテンツの流通構造を変えてきた。
選択はますますアルゴリズムに左右される
定額課金による安定収入を背景に、プラットフォーム側は視聴履歴や嗜好データをもとに作品を推薦し、ユーザーが新しいコンテンツに接触する機会を増やしている。一方で、レコメンド機能によって似た傾向の作品に接する機会が増え、消費行動がアルゴリズムに誘導されやすくなっている面もある。「JMR生活総合研究所」が2026年3月に行った消費者調査によると、20〜30代のサブスク利用経験率は既に8割内外に達しており、50代以上の約半数という数字に比べて圧倒的に多くなっている。サブスク消費の主戦場は20代から30代と言っていいだろう。
20代、30代にとっては、70〜80年代のJ-POPも新鮮に響く。アルゴリズムによって、そんな世代の心に突き刺さる曲も発掘されるわけだ。こうした傾向は、音楽や映画、ドラマ以外の分野でも徐々に広がりつつある。サブスクは言い換えれば、現在の消費行動に不可欠な検索や選択、失敗といったリスクを減らす仕組みでもある。
便利さの一方で、私たちの選択はますますアルゴリズムに左右されるようになっている。何を聴くか、何を観るか、何を買うかを自分で選んでいるつもりでも、実際にはレコメンドに誘導されている。そんな時代がすでに始まっているのかもしれない。

