題材こそ難しいが、そこで描かれる人間ドラマには、普遍的な要素も少なくない。スポ根ものの王道を行くキャラクター設定や成長物語など、わかりやすいドラマの側面も多分にあった。胸の熱くなる良作だっただけに、最初のイメージを払拭できなかったことが残念だ。
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異彩を放った『月夜行路』謎解き文学ミステリーの新規性
今期ドラマのなかで特筆したいのが、独特な空気感で異彩を放っていた『月夜行路―答えは名作の中に―』(日本テレビ系)。太宰治や谷崎潤一郎などの名作文学が事件の謎を解くカギになるミステリーは、とっつきにくい難解なドラマかと思われたが、まったくそうではなかった。
劇中で起きるさまざまな事件の根底には、現代社会を生きる人それぞれの苦しみや悲しみ、寂しさなど、誰もが持つ弱さがある。そこに、文豪たちの人生や名作のセリフ、そのストーリーなどがリンクする。
そんな物語が伝えようとしているのは、人との出会いの素晴らしさであり、人生には等しく価値があるということ。名作文学には、時代も社会も越える普遍的なメッセージがある。文学を通して人生とは何かを共感性高く説く人間ドラマになっていた。

