「横浜市はこれまでも、授業づくりや子ども一人ひとりの見取りを大切にしてきました。ただ、その見取りの多くは教員の経験や勘に支えられていた部分もありました」
「横浜St☆dy Navi」には、児童の学習状況や健康状態、欠席状況、家庭からの連絡などが集約される。教員は1人1台端末から必要な情報を確認でき、児童の変化や支援の必要性を学年全体で共有できるという。
「例えば保護者から『今日は少し不安そうな様子で登校しました』という連絡が入ったとします。以前であれば担任だけが把握して終わることもありました。しかし今は、教科分担で関わる先生も含めて情報を共有できます。授業中に『今日は少し元気がないね』『少し様子を見たほうがいいかもしれない』といった気づきを持ち寄り、その日のうちに対応を相談することができます」
こうした情報共有は、経験年数の浅い教員にとっても大きな意味を持つ。
「以前はベテラン教員の経験や勘に頼る部分もありましたが、今はデータという共通の土台があります。若手教員も同じ情報を見ながら意見を出し合うことができますし、『なぜそう判断したのか』をチームで共有しやすくなりました」
加藤氏は、横浜市のチーム担任制を単なる組織改革ではなく、「リアル」と「デジタル」を組み合わせた取り組みだと位置付ける。
「チーム担任制というリアルな仕組みだけでは十分ではありません。子どもの状況を共有するデジタル基盤があってこそ、複数の教員が同じ方向を向いて子どもたちを支えることができます」
「追い風が吹いた」チーム担任制を現場はどう受け止めたか
横浜市が26年度から全市立小学校で本格展開するチーム担任制。その方針を、横浜市立永田小学校(22学級、児童数484人)の広木敬子校長は「追い風」と受け止めている。
というのも、広木氏にとって「子どもは学年や学校全体で見るもの」という考え方は決して新しいものではないからだ。初任校時代から、教員同士が連携しながら子どもを見守る文化の中で育ち、1人の担任が抱え込まないことの大切さを学んできた。その実践を制度面から後押しする仕組みとして、チーム担任制を歓迎している。

