私は現代文の授業で、生徒たちに文章を読むときの視点を繰り返し伝えてきました。
文章を読むときに大切なのは、ただ文字を追うことではありません。
・筆者は何を問題にしているのか
・どの部分が理由で、どの部分が具体例なのか
・どんな結論へ向かっているのか
こうしたことを整理しながら読むことで、文章の意味はつかみやすくなります。
これは、説明するときにも同じです。
伝わる人は「話す前」に情報を仕分けている
自分の頭の中にある情報を、そのまま相手に渡しても伝わりません。
・先に伝えるべきことは何か
・あとから補足すればよいことは何か
この仕分けができてはじめて、説明はわかりやすくなります。
東大を目指すような生徒たちは、文章を読むとき、内容をただ覚えているわけではありませんでした。「これは主張だな」「これは理由だな」「これは具体例だな」と、情報の役割を見ながら理解していました。
だからこそ、自分の言葉で説明するときにも、要点を外しにくいのです。
説明が上手な人は、話す才能がある人というよりも、相手に渡す前に、情報を整理できる人です。逆に、どれだけ多くの情報を持っていても、整理されていなければ相手には届きません。
何を、誰に、なぜ、いつまでに、どうしてほしいのか――。この問いを持つだけで、説明はずっと伝わりやすくなります。
「読む」とは、「情報を受け取るだけの行為」ではありません。「情報を整理し、相手に渡せる形へと組み直す力」でもあるのです。

