そして、長い目で見たらそんなに大きく変わらないのではないか、とも感じるといいます。学校に通って当たり前、勉強して当たり前と思い込んでいたけれど、それらの“当たり前”の意味を親自身が一つひとつ深く考えるようになるのです」
市川さんに「不登校になって親子で新たな世界を見せてもらった」と声をかけた保護者もいた。
社会の担い手を学校以外の場所でも育むために
文部科学省が15年に行った調査によると、フリースクールなど小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に通う家庭の負担額は、1カ月当たり平均3万3000円だった。しかし、人件費や物価高により、その負担は重くなっている。23年の東京都の調査によると、平均支払い額は1カ月当たり4万4979円だ。
首都圏を含めると、現在は週5日、朝から夕方まで開所しているフリースクールであれば、1カ月当たり5〜10万円という家庭負担がかかることも少なくないと市川さんは言う。
長野県ではフリースクールに補助を行い、ほかの都道府県や自治体ではフリースクールに通う家庭を支援しているケースもある。こうした学校以外の場への自治体補助の広がりについて、市川さんは「すべての子どもたちを社会へと戻していくためには、“公教育の枠組みを広げていく”発想が必要ではないか」と指摘する。
不登校になると家族以外との交流がなくなりがちだ。その結果、子どもが自宅にひきこもるケースもある。教育と福祉の間で、どう支援を求めたらいいかわからない家庭は多いだろう。
学校に行けない(行かない)という一時の状態はどんな子どもにでも起こりうる。しかし、学校以外の場所が設けられ、そこで外の世界と接続し続けていくことができれば、いずれは社会に戻っていくことができる。
社会の担い手を学校以外の場所でも育んでいく。そんな公教育の枠を広げていく考え方が、今、求められているのではないだろうか。




