金利の上昇も、遅効性が本格化し、住宅ローン負担、クレジットカード延滞、企業の借入コストの上昇が、消費と投資を弱らせる方向に働いているが、サービス消費は底堅く、旅行・外食は依然強い。しかも企業業績を急落させる最大要素の「企業在庫」は積み上がっていない。ここは重要なタイミングで、物価上昇の中で無謀とも言えるドナルド・トランプ大統領の「利下げ圧力」を、安易に否定してはいけない。
「押したら買い」不変、ただし「吹いたら買わない」自制心を
株式相場に「テーマ」は必要だが、株式相場の基本要因は企業業績だ。日経平均は指数であり単独企業ではないので、単独企業のEPS(1株当たり利益)で日経平均の業績予想を出すのは理論的にはおかしなことだが、日本経済新聞発表のPER(株価収益率)で指数を割るだけの「日経平均予想EPS」は、はるか昔から日経平均の方向性を示す指標として使われてきた。
その日経平均予想EPSは先週末の19日現在3822円43銭と、過去最高になっている。増収増益企業は3年連続で減少し、減収減益企業は逆に3年連続増加しているが、その差し引き絶対値はまだ増収増益企業が多く、日経平均予想EPSは、最近増えている12月決算銘柄の中間決算が発表される8月に、4000円を超えて来るだろう。これが「押したら買い」の強い根拠だ。
今、大和証券の「日経平均は45年に30万円へ」という長期レポートが話題だが、これはEPS成長+自社(自己)株買いを積み上げたロジック型の予測で、比較的保守的な数字を積み上げたものだ。これを短期に落とし込んでも「押したら買い」が本線だ。ただ、前回の本欄で書いたように、「業績相場」もすでに3年目の爛熟期に入った。爛熟期の相場は、吹いたら買ってはいけない。
押したら買いの「勇気」は誰でも持っているが、吹いたら買わない「自制心」は誰にでもあるわけではない。「相場に勝つ心」は、勇気と自制心のバランスだ。兜町に通って56年の筆者が、兜町からもらった財産だ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

