てっぱんのスパゲッティが、鎌倉パスタでは入れない小型区画・フードホールにパスタを持ち込む業態だとすれば、サンマルクカフェのパスタは、喫茶事業の中に食事需要を差し込む試みとも見ることができる。売る場所が変われば、パスタが果たす役割も変わる。
パスタは“料理”から“出店フォーマット”へ
整理すると、サンマルクHDが現在扱うパスタには、少なくとも4つの役割がある。
鎌倉パスタは、ファミリー層を中心としたレストラン業態の主力商品として200店超を展開する。おだしもんは、和風・出汁・甘味を軸に、健康志向や女性客、モーニング/カフェ需要を取りに行く業態だ。同社中期経営計画資料では、鎌倉パスタと比較して客単価が10〜15%程度高いと説明されている。てっぱんのスパゲッティは、25坪程度の小型区画やフードホールに対応し、少人数運営を可能にする業態として位置づけられている。そしてサンマルクカフェのパスタは、喫茶事業の中で食事需要を受ける役割を担っている。
同じパスタでも、誰に、どこで、何時に、どのような利用シーンで出すかによって、売り方も店の形も変わる。サンマルクHDは、パスタを「料理のジャンル」として広げるだけでなく、「出店できる場所・客層・時間帯」に合わせて組み替えようとしている。
同社自身も決算説明資料の中で「パスタ業態のポテンシャルの最大化」と明記している。ただし、てっぱんのスパゲッティやおだしもんは、鎌倉パスタ本体の200店超に比べれば、まだ展開途上にある。
パスタを複数フォーマットに分解する試みは、まだ緒についたばかりだ。鎌倉パスタ本体は高単価化へ向かうのか。派生業態は、省人化や小型出店の受け皿としてどこまで育つのか。そもそも、パスタは「出店フォーマット」として本当に機能するのか。南町田の14席で、重い鉄板を運ぶ客の姿を見ながら、その問いに想いを馳せる筆者であった。

