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「ブチ切れたカラス」に飛び蹴りされかけた研究者…一線を越えたきっかけは誰もがやりかねない"あの行動"だった

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カラス 攻撃 研究者
カラスは何に怒った?(イラスト:タナカケンイチロウ)
  • 松原 始 動物行動学者、東京大学総合研究博物館・特任准教授

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2025年、6月。

背後に「ヒュンヒュンヒュン!」という風を切る音が急接近してきた。反射的に首をすくめ、縮こまる。次の瞬間、ビュン!と音を立てて、カラスが頭上すれすれを飛び過ぎた。

私は動物、特にカラスの生態や行動を研究している。カラスとの付き合いは学生時代から、もう30年以上。カラスがいたら観察するのが習性になっている。その朝も、出勤途中で見かけたカラスを観察していたのだが……この時はちょっと、思わぬ事態が発生した。

カラスのお子ちゃまたちを見ていたら…

その朝に見ていたのは、巣立って1週間ほどのハシブトガラスの雛だった。日本で繁殖するカラスは2種、ハシブトガラスとハシボソガラスだ。ハシブトガラスがもともと森林性であるのに対し、ハシボソガラスは農地や河川敷のような開けた環境を好むが、市街地にはどちらもいて、その辺で繁殖している。東京都心ほど極端に立て込んだビル街だとハシブトガラスばかりになるが、東京だって山手線の外側ならハシボソガラスがいる。

巣立った雛の大きさはほぼ親鳥と変わらないが、まだ羽毛が伸びきっていないし、やることも頼りない。自力で餌を採るのもおぼつかないから、翼を広げて「グワア」と鳴いては親に餌をねだる。飛ぶのも下手だ。

巣立ち後2週間ほどと思われるハシブトガラスの雛たち。まだ目が青く、口元に赤い皮膚が見えている(写真:筆者撮影)

20メートルほど離れた電線に止まっているお子ちゃまたちを見ていたら、頭上で「カツン」という硬い音がした。音もなく飛来した親鳥が電柱の腕金に止まった時に、爪が当たった音だ。黙ってこちらを見下ろしている。

雛からは離れているから、まあ大丈夫、カラスが怒り出すほどではないだろう。そう思っていたら、である。

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